著者
原田 眞澄 西尾 敏子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.119-124, 2005-06-16

保育学生2年次生155名を対象に,アンケート調査を行った。約半数の学生は,ボランティアや実習で園児のプライベートゾーンに関する言動や行動を体験していた。これは,幼児に性の健康教育をする絶好のチャンスであるが,保育学生にはそういう意識が乏しく適切な対応ができにくいことがわかった。近年,幼児期から性の健康教育を始める必要性が認識されている。保育士は幼児期の子どもと密接な関わりをもつことから,その養成課程で今日的な性の健康教育のあり方について教育を行う必要性を感じた。
著者
長廣 真理子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.91-96, 2005-06-16

本研究は,4,5才児の子どもたちが集団ゲーム「オーケストラの指揮者」をどのように遊び,そして,その中でどのような知的側面の発達をとげていったかを明らかにしたものである。本研究の結果,「オーケストラの指揮者」における知的発達の内容には空間的思考,時間的思考,社会的思考の3つの知的側面の発達が関与していることが明らかになった。空間的思考は,指揮者では身体のどの部位からどの部位に動きを変えるか,鬼がどの方向に向いている時に動きを変えるかということがわかるようになること,また,鬼では子ども達が見ている方向に指揮者がいるということがわかるようになることに関係している。時間的思考は,指揮者の場合には,いつ動きを変えたらよいか,鬼の場合では指揮者は一番早く動きを変える人であることがわかること,子ではすばやく動きを変える人であることの理解に関係している。社会的思考は,指揮者や子が鬼は自分と対立する意図を持っていることや,指揮者と子は協力的な関係であることがわかることに関係している。本文に示された事例からも明らかなように,「オーケストラの指揮者」には,空間的,時間的,社会的思考の発達を促す多様な内容が含まれていることが明らかになったが,本研究の成果はまた,幼児の教育は「遊びを通して」行う幼児教育の本質に鑑みて,保育者が遊びの中で子どもがどのような知的関係づけをしているのかを知る手助けとなり,個々の子どもの発達課題に即した指導を行うための手がかりにすることができると考えられる。
著者
宇野 保子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.29-38, 2007-06

ジーンズは,19世紀後半,ゴールドラッシュに沸くアメリカ,カリフォルニアで,丈夫な労働着として誕生した。日本では1960年代後半に国産のジーンズが生産され,70年代に普及期を迎え,当時のアメリカの生活文化と共に急激に受容されていった。その間,アパレル産業の興隆と共に,高い品質と技術に支えられ,様々な素材によるシルエット,パターンが生まれた。また,ジーンズ独特の洗いとその後の加工技術の研究開発により,次々と新しいモデルが発表され,ジーンズは新たなファッションの世界を創り出した。この間のジーンズメーカーの企業努力,若者の感性が,ジーンズを大きく進化させ,世界の人々とともに共感できるカジュアルファッションにまで育て上げた。本報では,このジーンズファッション変遷の過程をたどる。
著者
原田 眞澄 谷本 満江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.131-135, 2006-06-16
被引用文献数
1

乳幼児期は基本的な生活習慣を確立していく段階であるが,夜遅くまで起きている習慣がつく子どもが急増してきている。保育所・幼稚園などでも園児の夜ふかしが問題視され,保育者は家族に早寝早起きするよう働きかけてはいるが,期待した成果が得られていないのが実状と思われる。早寝早起きの意義は大きく理想ではあるが,時代的背景を考慮すると限界も感じてしまう。それよりも,家族がおかれている環境の中で実現可能なことから改善していくという柔軟さも必要なのかもしれない。そこで,現代の子育てにおいて,子どもに少しでも良質な睡眠を提供するための手立てとはどのようなものかを検討したいと考えた。岡山県の保育所・幼稚園の5〜6歳児260名を対象に,2週間連続の睡眠リズムと就寝時の過ごし方に焦点をあてて,質問紙によるアンケート調査を実施した。睡眠リズムは週末に崩れやすく,就寝時までの過ごし方はテレビやビデオから光刺激を多く受けている特徴が明らかになった。今後は,こうした点にも着眼した保健指導を行う必要性が示唆された。
著者
有道 惇 津上 崇
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.183-193, 2007-06

今日,我が国の子どもたちが歌っている歌は非常に多様である。それらは,ポップス調,民謡調,わらべうた,唱歌,童謡そしてアニメソング等と,歌の種類は非常に幅が広く,全国各地に広まっている。これには,昭和24年に始まった「歌のおばさん」1)等のマスメディアの力による影響が大きく,このような傾向は今日まで継続している。一方,これら多様な「子どもの歌」は,明治以降における西洋化の影響と,これに沿って取り組まれた,西洋的な歌を作るという国の方針とが相俟って,多数の唱歌や童謡が誕生してきた。ところが,この国の方針にも関わらず,誕生してきた歌は,日本語の抑揚にも起因して,伝統的な「わらべうた」,「子守歌」,「民謡」等にみられる「ヨナ抜き音階」の側面が今日まで尾を引いているものも少なくない。そこで,明治以降の「子どもの歌」を分析検討することで,いわゆる西洋音楽(以下,洋楽と略)の受容がどのように行われて,伝統的な音楽(以下,和楽と略)が「子どもの歌」にどのような影響を及ぼし,両者がどのように融合してきたかを検討する。
著者
木村 東吉
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-60, 2007-06

筆者は,絵本を鑑賞する立場から,宮沢賢治童話絵本において,画家によってテキストが再生・変容されていく様を,解釈の拡がりとして捉えるとともに,歴史的にも跡づけてみたいと考えている。本稿はその手始めとして,「よだかの星」を事例とし,既存の絵本八編を取り上げ,その特徴を分析・確認しておくものである。論者の研究動機は小林敏也の『画本宮澤賢治よだかの星』(パロル社版)にふれたことにある。この絵本では,よだかの生き方を「賢治ワールド」のなかで捉え直しており,現在の主流の作品解釈が反映されている。これに対して,『よだかの星』をはじめて絵本化した工藤甲人の日本画風の手法による福武書店版では,画家の視点がよだかの被害者意識に寄り添っており,山火に地獄図の業火のイメージを与え,よだかの星に仏像の光背を与えていて,比較してみれば,絵本における作品解釈に歴史的変化の跡が確認される。福武書店版の2年後に成立した伊勢英子による講談社版は,油絵によるデザインによって,画家の個性を強く感じさせるのだが,現世に茨のしがらみを見ている点で,現世のとらえ方に工藤と共通するものが見られる。また,村上康成の抽象画による岩崎書店版では,絵が本文を説明するのではなく,絵が読者に積極的に謎をかけ,本文への興味を誘うとともに,本文による読者の解釈に想像の余地を残す点で,効果をあげている。
著者
佐生 武彦
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.61-67, 2008-06

本稿では,最新のオリジナル作品である"Kasa Jizo : The Stone Buddhas With The Straw Hats"(以下「カサ地蔵」)での幾つかの新しい試みを紹介しながら,前稿(2007)に引き続いて,英語劇のシナリオ作成と舞台作りのためのヒントを提示したい。シナリオ作成に関する新しい試みとしては,「二人三脚」及び「一人舞台」と筆者が呼ぶものがある。前者は,ナレーターに「突っ込み」を入れる役を配置し,二人の掛け合いで物語りを展開させて行く手法である。後者は,文字通り役者が一人で舞台に立ち,一回の発話で大量のセリフを発するものを指す。今回の作品中では,主人公のお爺さんによる地蔵を相手にしたモノログがこれに当たる。また,原作には存在しない「それらしい話」を創作・挿入する「部分創作」というものについても新しい視点から少し論じておきたい。舞台作りに関しては,地蔵にまつわる事項について検討する。
著者
西田 典数
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-22, 2007-06

「メタボリックシンドローム」とともに「喫煙」による健康障害(被害)が国内だけでなく世界中でも大変深刻な問題となっている。WHO(世界保健機関)では,「タバコは,病気の原因の中で,予防できる最大の単一の原因」としている。日本人の喫煙率は特に男性で非常に高く,未成年者や妊婦の喫煙問題も重大である。喫煙は「自傷他害行為」であり,家庭や職場,社会だけでなく学校においても喫煙による直接・間接の健康障害や火事・事故等に対する取り組みが求められており,それがその学校(大学)の評価にも繋がっている。中国学園では,これまでも禁煙活動に取り組んできた。アンケート調査や啓蒙活動,更に職員によるタバコの吸殻を含めた学園内清掃等が今でも毎日根気強く継続されている。筆者(医師)も,平成15年度からニコチン代替・置換療法(ニコチンパッチ)を含めた禁煙医療支援を継続している。今回は平成17年度の取り組みを中心に,その1年後までの経過を含めて概略(評価,問題点等)を述べる。(1)学内の禁煙医療支援によって禁煙成功率は高かった。(2)学生達の場合は若年者であるため喫煙年数が比較的短く,ニコチンパッチは短期間使用で成功する場合が多かった。ニコチンパッチのサイズも「中」以下でも良い場合が多かった。(3)かぶれ,頭部・腹部症状等の副反応が比較的多かったが,薬剤(パッチ)の減量・休止で対処できた。(4)家庭(家族)・職場・アルバイト先・大学(友人)等で喫煙環境から抜け出せない場合は,再度喫煙してしまう場合が比較的多かった。(5)喫煙の根底に精神的に重大な問題を抱えている場合は少なかった。(6)長期的で十分なフォローや禁煙失敗者の再挑戦への十分な支援は難しい場合もあるが,その点が最も大切である。(7)「ニコチン依存」に対してはニコチン代替療法を,「心理的依存(習慣)」に対しては行動療法(後述)を併用する事で禁煙成功を高めることができた。
著者
富田 昌平
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.127-138, 2007-06

本研究では,乳幼児期における移行対象(毛布やタオル,ぬいぐるみなどへの愛着)とその先駆物としての指しゃぶりの出現の実態について,3歳から6歳の子どもを持つ保護者261名への質問紙調査をもとに検討した。調査の結果,(1)移行対象の出現率は31%,指しゃぶりの出現率は24%であり,そのうち両者が同時に現れたケースは9%であった。(2)移行対象と指しゃぶりは一人っ子,長子,末っ子において同程度に出現し,中間子において少なかった。(3)指しゃぶりは生後6ヶ月以前に出現し,生後6ヶ月から36ヶ月でピークを迎えるのに対し,移行対象はより遅れて生後24ヶ月から60ヶ月がピークであった。また,ぬいぐるみや人形などの二次性移行対象は,毛布やタオルなどの一次性移行対象よりも出現が遅かった。(4)移行対象と指しゃぶりは入出眠時に多く必要とされ,その他テレビ視聴時や退屈な時に必要とされた。それらは子どもを落ち着かせ,安心感を与えると保護者に解釈されていた。(5)対応については無理にやめさせようとした者は少なく,多くはいつか子ども自身で手放すだろうという予測の元に,自然ななりゆきに任せていた。
著者
小野 文子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.125-129, 2006-06-16

音楽の原点は,言葉を話すのと同じように自分の思いを音にのせ,人と人が繋がることであろう。人は「聴く」ことから音楽体験を始め,聴いた曲を「歌う」ことを試みる。「歌う」ことは音楽活動の基本である。
著者
藤本 義博 上島 孝久
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.89-95, 2004-06-16
被引用文献数
1 2

20世紀に入って世界各地で人間の活動による生物種の急速な減少が起きており,我が国も例外ではありません。従って,生物の多様性に及ぼす人間活動の影響を明らかにし,かつ「種」の絶滅を防ぐための実際的で,効果的な方策を開発することが重要な課題になってきています。この様な状況のもとで,学術的に極めて重要で、わが国の特別天然記念物に指定されていて、現在は日本と中国の極く一部にしか生息していないオオサンショウウオも、その生存が危ぶまれている生物種の一つです。オオサンショウウオの保護は、わが国にとっては勿論のこと、その主要な生息地である岡山県にとっても、文化財保護の面からばかりでなく環境保全の面からも重要な対策の一つであるといえます。岡山県真庭郡内の湯原町,川上村,八束村,中和村はすでに昭和2年に全国で唯一全地域(土地)がオオサンショウウオの生息地として国の「天然記念」指定を受け,文化庁,教育委員会による保護下にあります。それにも拘わらず,平成9年度7月から平成10年12月までの河川調査では,23年前の「昭和50年度オオサンショウウオ緊急調査委員会報告」と比較してその生息確認河川数が激減していることが示されました。本論文では河川構造物とオオサンショウウオの生息状況との関係を明らかにすることを目的にしました。
著者
谷本 満江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.23-28, 2007-06

筆者の体育講義内容は,健康分野を中心としている。我々は講義すること,受講させることは簡単であるが,実際に皆が健康なからだで,健康な日常生活を送ることが重要と考えている。現代社会では,夜型生活の傾向があり,特に大学生に於いては,親元を離れて生活をしたり,サークル・アルバイト活動が多いなど,いろいろな面で自己管理しなければならない。しかし,多くの学生は不規則な日常生活を送りやすいと考えられる。本学の学生に対しては,これまでの生活習慣をいかに行動修正・行動変容させるかは筆者の責任と考え,講義している。最初に学生の体脂肪率測定を行い,これまでのライフスタイルを生活に関する調査でチェックした。そこで,まず自分の身体とライフスタイルを確認し,興味・関心を持つこと,そこからの出発なので学生の中に講義内容が浸透しやすかった。健康の3本柱である《食事》《休養》《運動》に於いて,最低気をつけたい具体的目標をかかげた。《食事》(1)朝食を摂る(2)三食きちんと取る《休養》(1)平日と休日の起床・就寝時刻を同じにする(2)その日の内に寝る《運動》(1)日常生活での姿勢に気をつける(2)できるだけ歩く…これらは簡単そうに思えるが,実はこれを実行し,継続することは意外と大変である。しかし,体育講義受講後はダイエットしようと考えていた学生も間違った方向に行かないように考えていた。そして,各自可能な内容を1週間,2週間と行動修正し,継続できた者が結果的にダイエットに繋り,更に精神的にも前向き・意欲的になり,他学生にも報告し自他共に認めていた。また,9割の学生は少なくとも何らかの形で,健康に気をつけて生活できるようになったと記述していた。今後もこれが行動変容として習慣化されることを願っている。
著者
近藤 信子 冨氣 久江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-19, 2008-06

1990年(第1回調査)と2007年(第2回調査)に女子学生を対象に行った質問紙調査の結果を比較しながら,和服の現状と今後の在り方について検討した。調査内容は和服に対するイメージと評価である。和服に対する評価についてはファッション性・審美性・実用性・社会性の次元で項目を設定した。和服に対するイメージについては,1990年の調査結果では「好感」「女性的上品さ」「華やかさ」の3因子が抽出されたが,2007年調査の分析結果からは「儀礼性」「好感」「静的」の3因子が抽出された。女子学生は,和服の審美性について高く評価しており,和服への関心も高いことが明らかとなった。この結果については,調査年による大きな差異はみられない。ファッション性については,和服の個性的な着付けや新しい組み合わせを工夫したいとする者が2007年調査結果では多かった。和服の実用性についての評価は高くない。民族服に対する意識は1990年調査より2007年調査のほうが有意に低かった。
著者
寺山 節子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.95-99, 2008-06

本稿はボランティアがもつ教育効果について1症例を基に報告したものである。本来ボランティアがもつ特性,その活動をとおしての主体性の確立と,対人との係わりの中で培う豊かな心の芽生えが本稿の対象とした学生に顕著に現れた。そのことは,本人が質問紙の中で,ボランティア活動を行ったことで自分の道が開けたから「青空のような青だ」とその色をたとえている。本人が20日のボランティア体験で自信と明るさを手にしたことと,その教育効果をこの報告で伝えたい。
著者
大橋 典晶
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.89-96, 2007-06

公立小学校への英語学習への導入を成功させるには適切なカリキュラムを構築することが必要である。そのために,まず目標の検討を行った。直接的な目標として「国際コミュニケーション力」を設定し,その育成には,「母語のメタ認知」を可能にすることと,より良き母語使用者を育てることが必要であることを指摘した。同時に,英語を教材として使用することの適切さについても検討し,日本語と英語の違い,コミュニケーションスタイルの違いが大きいことと,利用可能なリソースが豊富であることが英語を学習する利点とした上で,個別言語間に優劣がないことを意識させることが重要であると指摘した。
著者
尾崎 恭子 加藤 泰彦 長廣 真理子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.69-77, 2005-06-16

『幼稚園教育要領』および『保育所保育指針』において,乳幼児期の遊びは重要な学習であり,遊びを通して総合的に指導する重要性が述べられている。しかし,子どもたちの発達を促すためには具体的にどのような言葉かけや手だてをすればよいのかについては,はっきりしないのが現状であり,実際の遊び場面における言葉かけと手だての内容を明らかにすることが重要である。そのような視点から,本研究は「物と関わる遊び」を取り上げ,カミイら(1985)の研究にもとづいて,その指導法を明らかにすることにした。本研究ではまず,理論的な観点から指導上の原則を明らかにし,さらに,遊びの導入場面,遊びの展開場面,遊びの終わりの場面にわけて具体的な言葉かけと手だてを示した。最後に,それらの具体的な指導法にもとづいて,5歳児のボーリング遊びにおける言葉かけと手だてを考察し,保育者の望ましい言葉かけと手だての内容をまとめた。
著者
寺山 節子 畑 晶子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.215-219, 2007-06

本稿は,岡山県内の「訪問介護」サービスとして登録のあった(2007年2月28日現在)472事業所の中から無作為に抽出した57事業所(訪問介護員308人)を対象に,「生活と生命を支える訪問介護員の疲労」と題してアンケート調査を実施し,その疲労の実態を把握したものである。結果,全体の約7割(68%)の訪問介護員が疲労を感じていることが把握できた。しかし,疲労を感じながらも仕事を辞めたいと思っている人は少なく全体の1割(7%)もいないことが示唆された。
著者
松畑 煕一 中野 宏 名合 智子 橋内 幸子 垣見 益子 佐生 武彦 佐藤 大介
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.49-58, 2006-06-16

本学で開講した「中国学園小学校英語活動支援講座」に関して受講生を対象にアンケート調査をした結果,講座の回数,長さ,時間帯,時期,会場・設備,配付資料のいずれの項目においても,満足のいくものであったという回答が全体の8割を超えていた。ほぼ2週間おきの土曜日開講については,前述の項目に比べて満足度がやや下がったものの,全体の7割近くが支持をしている。特に役に立つ内容としては,ゲームやチャンツのような実践的指導スキルが最も多く挙げられており,続いて,クラスルームイングリッシュなどの英語力強化内容,模擬授業などの実践,年間計画などの順であった。以上の結果から,本講座は,受講生のニーズに十分に応えたものであったといえる。
著者
垣見 益子 橋内 幸子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.9-18, 2003-06-16

本稿は,卒業生を対象に実施したアンケート調査の最後の報告である。本学英語系学科の卒業生の多くは,仕事,家庭,社会,その他,様々な場面において,英語を使用する機会がある。主に必要とされる英語の技能は,英語を使用する場面によって異なっている。本学における英語教育に関しては,「話す力」,「聞き取る力」,「コミュニケーション能力」の養成に力を入れて欲しいという意見が最も多かった。設問に対する回答や自由記述を通して,本科の卒業生が,英語教育と同様に,実務教育の必要性を強く実感していることが浮き彫りにされた。