- 著者
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辻 大地
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.269-281, 2019 (Released:2020-04-28)
- 参考文献数
- 45
本研究は,園の保育内容(造形表現)における描画題材について,子どもの表象能力の発達過程の特性に基づいた内容を理論的に設定して提示する題材研究である。
研究の結果,幼児期前半期(1歳半ころ~4歳ころ)と幼児期後半期以降(4歳ころ~)の表象能力の発達の質的な変化に対応した,描画題材の内容の設定が必要であることが明らかになった。また幼児期前半期では表象能力が目の前の事物に依存しているため,目の前にある形や色,素材などに直接関わることでイメージをふくらませる題材や,今・ここの目の前の出来事として遊べる題材が適していること,そして幼児期後半期以降では言葉を使って考えることができるようになるため,表象活動が目の前の事物や出来事だけに依存しない言葉で考えることを楽しむ題材や,今・ここの自分とは異なる他者や過去の自分の立場になって考えることを楽しむ題材ができるようになることが示唆された。