著者
柴崎 直明
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.267-282, 2015-09-25 (Released:2017-05-12)
被引用文献数
4

2011年東北地方太平洋沖地震により引き起こされた,東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故から4年が経過したにもかかわらず,汚染水問題は解決していない.この問題は原発の廃炉作業のために解決しなくてはならないものの,かえって汚染水に関係する様々な問題が発生している.たとえば,原子炉およびタービン建屋に流入する地下水量を減らすための対策として運用されている地下水バイパスは,当初の想定よりも効果が低い.敷地付近の複雑な地質・地下水条件に関する調査や理解が不足して,東電や国が作成した水文地質断面図や地下水シミュレーションモデルは極めて単純なものになっている.そこで,福島第一原発敷地内の公開されたボーリング柱状図を活用して,主に泥岩や砂岩からなる大年寺層D4の層相を解析し,局所的な範囲でも層相が大きく変化するとともに,地下水の流動状況を左右する可能性があることを明らかにした.また,福島第一原発の地質概要や汚染水のタンクの地盤問題,地質や地下水データの問題やそれに関係する地下水モデル解析の問題をレビューした.さらに,現在進めている建屋への地下水流入量削減のための地下水バイパスや凍土壁の建設,サブドレンの運用等に関する地質学的課題を指摘した.

言及状況

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「東電は地質や地下水の状況を建設当時ある程度把握し ていたはずであるが (中略) 対応や見解をみると、東電は事故前・事故後とも地質や地下水の問題に十分な考慮を払っていなかったと考えられる」 — J-STAGE Articles - 福島第一原発の汚染水問題 : その地質学的背景と課題 https://t.co/jKYkOS1Cvz
「当時の敷地選定の主な理由は、①東京から遠いこと (後略) 」 「福島第一原発敷地で地下水位が浅く地下水が湧出する問題は、原子炉建屋やタービン建屋が設置された後も大 きな影響を」 — J-STAGE Articles - 福島第一原発の汚染水問題 : その地質学的背景と課題 https://t.co/jKYkOS1Cvz

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