著者
矢谷 博文
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.229-245, 2012 (Released:2012-09-21)
参考文献数
180
被引用文献数
1

本総説は,顎関節症(TMD)の治療法,特に補綴歯科領域のおける保存療法が,歴史とともにどのように変遷を重ねてきたかについて病因論の変遷とともに歴史を追って詳述した.膨大な臨床研究が積み重ねられた結果,現在では,1)TMDは臨床症状の類似したいくつかの病態からなる包括的名称であること,2)生物精神社会的モデルを発症機序の基本とした多因子の病態であること,3)その生物精神社会的モデルの枠の中で各病態の治療や長期的な管理がなされる必要があること,4)各病態とも症状の自然消退の期待できる(self-limiting)疾患であるゆえ,まず可逆的な保存治療を優先させること,が共通の理解となった.今後は,TMDの各種保存療法の治療効果を病態別に明らかにするために,治療の結果を測る方法の標準化が強く求められる.

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