著者
水城 まさみ 津田 富康
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-28, 2001-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
4

ホルムアルデヒド(FA)は職業性または室内汚染物質としてしばしば気道を障害し, 多種化学物質過敏症の主要原因物質の一つであることが知られており, 先進諸国では重要な社会問題となっている.解剖実習室でのFA濃度は通常の環境より高いことが予想されるが, 最近実習中に身体の不調を訴える学生が増えてきたため, その原因究明のために本研究を実施した.解剖実習終了後3カ月の時点で, 医学科3年生95名に既往歴, 治療中の病気, 実習中に感じた身体症状, 化学物質過敏に関する問診を行い, 同時に総IgEとダニおよびFAに対する特異的IgE(FA-IgE)を測定した.83%が実習中に眼の刺激感, 鼻汁, 咽頭痛, 倦怠感, 皮膚の痒みなど何らかの異常を感じた.現在までにアトピー性疾患があった者は半数にみられ, ダニ特異的IgE抗体陽性者は58%と高率であった.FA-IgE陽性者は1名のみで特に実習中に症状はなかった.治療中のアトピー性疾患を有する者, 総IgEが高い者, 化学物質過敏に関する問診で症状数の多い者ほど実習中の身体症状数が有意に多かった.以上よりFA曝露が既存のアレルギー症状を増悪させる可能性と, 化学物質過敏の影響が考えられたが, FA-IgEの関与は否定的であった.

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@yatsukeiko 「人体解剖実習中のホルムアルデヒド曝露による身体症状発現とアトピー性素因との関連について」 水城まさみ先生(当時大分医科大学保健管理センター)が、化学物質過敏症の診療をライフワークにする契機となった研究です。 https://t.co/x7mOhUqw0r

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