著者
中橋 孝博
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.89-106, 1987-01-15 (Released:2008-02-26)
参考文献数
33
被引用文献数
9 8

福岡市の天福寺遺跡から,ほぼ江戸時代後期に所属する人骨,約200体が出土した。その特徴として,かなり顕著な長頭性,大きく高い顔面部,あるいは現代人より強い鼻根部の彎曲や歯槽性突顎,等の傾向が認められた。推定身長は男性159.4cm,女性146.5cmで,中世人や他の近世人とは大差ないが,当地方の弥生や古墳人に較べると明らかに低い。全体的に,桑島や粒江より,これまで都市部で出土した江戸時代人に比較的近い形質を示すが,長頭性という点には当地方の現代人にもつながる地域性が認められる。また,中世以降の時代変化の中で一部の形質に不連続な変化も認められ,そうした特徴の由来についていわゆる「都市化現象」や「貴族化」との関連を検討した。

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