著者
高椋 浩史
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.119, no.2, pp.75-89, 2011 (Released:2011-12-22)
参考文献数
61

縄文時代から現代に至る骨産道形態の時代変化を検討し,あわせて母親の産道形態が脳頭蓋形態に及ぼす影響について検討した。分析対象地域における骨産道形態の時代変化を検討した結果,縄文人集団の骨産道サイズが比較集団中で最大であった。また,骨産道入口部の形状については,弥生人集団および中世人集団では前後径が短く,横径が長かった。それ以降の近世,近現代,現代人集団の骨産道入口部は逆に前後径が長い特徴を持っていた。一方,骨産道出口部の大きさは縄文時代から時代とともに概ね減少する傾向が確認できた。その上で,分娩時に児頭形態との関係が重要とされている骨産道入口部と頭型の時代変化を比較した。その結果,骨産道入口部形態の時代変化と頭型の変化は概ね一致することが示された。このことから母親の産道形態が脳頭蓋の形態決定要因の一つである可能性が示された。さらに,骨産道サイズと相関があることが指摘されてきた身長との時代変化とについても検討した結果,弥生人集団以降,骨産道サイズの変化と身長の変化が概ね一致する傾向が確認できた。

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