著者
中川 尚志
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.123-135, 2015-04-28 (Released:2015-09-03)
参考文献数
67

要旨:蝸牛生理機能は Davisのbattery theory に代表される電気生理と Békésy の travelling wave を起点とする蝸牛内の力学的特性の二つの側面からの解析が共同し, 進歩してきた。音響機器としてみると 100dB を超える広い dynamic range と 100kHz という極めて高い周波数まで受容する特性を有する。蝸牛は①音情報の神経情報への機械電気変換機能, ②周波数分析装置, ③増幅器 (active process) の三つの働きを有している。音は振幅, 周波数, 位相の三成分からなる。蝸牛によって分析された音の三成分は, 振幅を神経の発火頻度, 周波数を蝸牛神経の部位, 位相は 2kHz 以下では蝸牛神経の活動電位の発火のタイミング, 中高音域では時間による変化である envelope 情報として, 中枢へ伝えられる。詳細な知見をまじえて, これらの機能を概観し, 内耳性難聴の病態を蝸牛生理機能より解説した。

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このあたりには興味があり、「科学技術の進歩と聴覚医学『蝸牛の生理機能と聴覚障害』」(J-STAGE , https://t.co/dBI4KlkL81)の聴覚と蝸牛の増幅の根幹の記載であるとか、感覚毛が差動式(ゼロ点をアクティブで作り出している)あるとかの話から、何かしら音はあるかも的な。>RP

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