著者
外村 彰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.3-11, 2005-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
10

量子力学は,1920年代に建設された.しかし,我々の常識とはかけ離れた内容を含んでいたために,アインシュタインをはじめとする数多くの研究者の議論を招いた.だが,量子力学の予測は全て適中し,素粒子,原子核,化学,バイオなど,あらゆるミクロな理論の基礎となるに至っている.かつての議論は未解決のまま取り残され,今では,教科書で取り上げられることも少なくなり,量子力学はブラックボックスとして取り扱われることも多くなってきた.ところが,ここ30年の先端技術の急速な進展に伴い,思考実験と考えられてきた量子力学の基礎実験も可能になり,実験によって光があてられた量子力学の基礎に,再び関心が集まってきた.この歩みを日本の寄与という観点から振り返ってみたい.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (2 users, 2 posts, 10 favorites)

日本物理学会誌は宝の山。外村先生の記事を心して読む。 https://t.co/SMs52RAZEY 量子力学の黎明期における日本の貢献。寺田寅彦はX線回折の実験を行なった。ブラッグよりわずか半年遅れ。菊池正士は電子線回折の実験を、理研着任からわずか2ヶ月で成功させた。もちろん外村先生はその伝統に連なる。

収集済み URL リスト