著者
小林 文彦 小川 幹男 松浦 稔 吉崎 敏夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.1084-1092, 1989-11-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
9

7432-Sまたは7432-SのNa塩 (7432-S・Na) の1000mg/kgをウサギに1回経口または静脈内投与して腎毒性の有無を調べた。得られた成績は次の如く要約される。1. 7432-S経口投与および7432-S・Na静脈内投与群とも摂餌量は, 有意に減少し, 体重の増加抑制傾向がみられた。2. 7432-S経口投与群では。尿の酸性化, 血漿中のクレアチニン, 総コレステロール値などがやや高かったが, 病理学的検査で腎毒性を反映した変化は認められなかった。3. 7432-S・Na静脈内投与群の腎臓では, 4例中3例に軽度から中等度の近位尿細管上皮細胞の壊死がみられた。これらの例では, 尿中に蛋白や糖および顆粒円柱がみられた。また, 血液生化学検査では, 中等度の近位尿細管上皮細胞壊死例のみに血漿中のクレアチニンおよび尿素窒素の上昇傾向がみられたが, 対照群との有意差はなかった。4. 従って, ウサギでは, 7432-S 1000mg/kgの1回経口投与で腎毒性の発現はみられず, 7432-S・Na 1000mg/kgの静脈内投与でのみ病理学的に弱い腎毒性が認められた。

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