著者
朴 文華 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0255, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】自転車エルゴメーターによるトレーニングは主に持久力のトレーニングとして用いられているが、高負荷で行うことにより筋力トレーニングとして用いることができると報告されている。しかし、高負荷ペダリングトレーニングの下肢筋への影響は、膝伸展筋力に関しては等尺性、等速性ともに意見が一致しておらず、また、体幹筋にどのような影響を及ぼすかについての報告は見当たらない。さらに、これらの報告はトレーニング期間が6~8週で行われており、4週間という短期間で行われたものはない。本研究の目的は、4週間という短期間での高負荷のペダリングトレーニングが下肢および体幹筋力と下肢のパフォーマンスに与える影響を検討することである。【対象と方法】本研究に同意を得た健常学生17名を対象とした。トレーニング群として10名(男5名、女5名:平均年齢22.8±2.8歳、平均体重55.4±6.3kg)に自転車エルゴメーター(COMBI POWERMAX V)によるトレーニングを実施した。残りの7名(男4名、女3名:平均年齢23.6±4.2歳、平均体重60±16.5kg)はコントロール群とした。トレーニング期間は週4回、4週間とし、体重の7.5%の負荷(平均4.2±0.5kp)で30秒間最大速度でのペダリングを30秒間の休息をはさみ4回行わせた。4週間のトレーニング前後に等速性膝屈伸筋力(角速度60,180,300deg/sec)、等尺性膝屈伸筋力、脚伸展筋力(CKC筋力)、腹筋力、背筋力、ストレングスエルゴを用いた回転数20,40,60,100rpmでの最大トルク、エルゴメーターによる体重の7.5%の負荷を用いた最大パワー、パフォーマンステスト(幅跳び、垂直跳び、6m hop、stepping test)を評価した。統計処理にはトレーニング前後で対応のあるt検定を用いた。【結果と考察】等速性の膝屈曲及び伸展筋力においてはどの角速度でも有意差は認められなかった。等尺性伸展筋力は207.5±48.8Nmから222.7±63.8Nmへと、CKC筋力は1144.7±409.8Nから1404.4±197.7Nへと有意に筋力が増加した。また、腹筋力においても143.4±47.7Nから175.0±87.0Nとなり筋力増加が認められたが背筋力は有意な差は認められなかった。ペダリング筋力においては、ストレングスエルゴによる等速性の全ての速度で筋力の変化はなく、エルゴメーターによる最大パワーの変化も見られなかった。パフォーマンステストにおいては6m hop, ステッピングテストにおいて有意にトレーニング効果が認められたが、その他は認められなかった。以上の結果より、4週間の高負荷ペダリングトレーニングは、1)等尺性膝伸展筋力だけでなくCKC筋力と下肢パフォーマンスを改善させることができること、2)下肢だけでなく腹筋筋力を増加させることができることが示唆された。

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