著者
福田 聡史 喜屋武 龍介 林 敏彦 溝田 康司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1722, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】理学療法士の(以下,PT)の臨床実習では,学生は学内で学習した知識や技術を臨床時現場で活かすための体験ができる貴重な機会である。一方で,学生の指導を担当する指導者(SV)は臨床業務も多く,また,指導のための手間は多岐に渡る。さらに学生のレディネスが不十分な場合には実習を十分に遂行できないこともあり,教員のサポートが必要な場合も多い。今回,長期臨床実習において教員が毎週施設に訪問し,実習の進捗状況や学生の生活状況,指導者と教員の情報共有ツールとしてのプログレスノートを用い,即時性のある対応を試みた。その内容をテキストマイニング手法を用いて分析したので報告する。【方法】事前に今回の取り組みを説明し,同意の得られた施設の指導者とその責任者,当該施設で実習を行う実習生9名と当学院の教員3名を対象とした。各施設に当学院の教員を1名割り当て,毎週1回各施設を訪問した。訪問時の共有ツールとして「実習計画及び経過記録表(以下,プログレスノート)」を作成し,「生活状況」「実習進捗状況」「実習計画」「その他・連絡事項」の4項目について教員と指導者が自由に記入し,併せて面談を行い経過を追った。プログレスノートの記録結果を,上記4カテゴリーに分類し,記載内容を実習の進捗にポジティブに働く要素や言葉(以下,ポジティブ),ネガティブな要素や言葉(以下,ネガティブ),その他の項目に分け,実習経過に沿った変化を概観的に検討した。また,立命館大学樋口耕一氏が開発したフリーウェアKH Coderを用い,プログレスノートに記載された内容についてテキストデータマイニング分析を行った。【結果】テキストマイニングの分析結果を基に共起ネットワークの結果をまとめた。すべての項目の中心となったワードは,1~2週目は「コミュニケーション」「生活状況」,3~5週目は「1症例目」「初期評価」「発表」,6~8週目は「2症例目」「中間評価」9週目は「発表終了」「レジュメ作成」「修正」「まとめ」,10週目は,「アドバイス」であった。ネガティブ要素のみを抽出した結果,実習の前半においては,「知識」「状況」と「不十分」「低い」がネットワークを形成し,中盤からは,前半のワードに「指導」「検査」が加わった。後半においても同様の傾向を示し,その頻度は増加した。【結論】これらのことから実習前半では学生と指導者間での実習状況や生活状況についてネガティブなワードが多く見られ,ストレスにつながりやすい状況にあると考えられる。実習前半での学生の環境への適応や現場で学びに関する支援やサポートが必要であると考えられる。ネガティブ要素についてテキストマイニング手法を用いて分析する事で,指導者と学生間のストレスにつながりやすい状況について経時的変化を可視化し捉える事が出来ると考える。

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#研究事例リストに追加しました:福田聡史・喜屋武龍介・林敏彦・溝田康司 2017 「臨床実習における実習生の進捗状況把握に対するKH Coderを利用したテキストマイング分析」 『理学療法学Supplement』 2016:1722 https://t.co/CDgCqbT3bg

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