- 著者
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乾 敏郎
小川 健二
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.35, 2008 (Released:2008-11-10)
なぞりと模写のfMRI実験の結果から、これらのメカニズムに関するモデルを提案し、動作模倣との関連性についても考察する。乾(2007)では、左頭頂葉と右頭頂葉において、対象が自己中心座標と対象中心(または環境中心)座標でそれぞれ表現されていると仮定している。言い換えると、左頭頂葉は、主に外界の時空間的な変化を身体運動に変換するという意味で、情報の流れが「他者→自己」であり、右頭頂葉は自己の運動を他者(物体)に投影して、外界にある他者(物体)のイメージを作り、操作するという意味で、情報の流れは「自己→他者」であると言える。なぞりは、対象中心座標の表現のみでカーソルの軌道を制御できるのに対し、模写は、曲線を一旦自己中心表現に変換して再生しなければならない。しかも、自己中心座標と対象中心座標の変換を行い、部分の確認がなされる必要がある。このモデルによって、closing-in現象も説明可能である。