- 著者
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武藤 拓之
水原 啓太
入戸野 宏
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.2, 2019 (Released:2019-10-28)
複数の選択肢の中から1つを素早く自由に選択する課題において,自分がどれを選択したかについての意識体験が後付け的に決定されるという現象が知られている。このポストディクション現象は,視覚情報が無意識的に処理されてから意識に上るまでの時間差に起因すると考えられてきた。しかし,従来のモデルは現象の言語的な記述に留まっており,数理的妥当性の検証は不十分であった。そこで本研究は,先行研究の理論的考察を踏まえた仮定から,自由選択の認知過程を表現するシンプルな確率モデルを導出し,このモデルでポストディクション現象が説明できるか否かを検証した。水原・武藤・入戸野 (2019) の2つの実験課題から得られたデータにモデルを適用した結果,全てのデータをこのモデルでよく説明できることが確認された。また,無意識的な処理が意識に上るまでの時間差や選択に要する時間の分布といった有意味な情報を推定できることも示された。