著者
毛利 康秀
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.34-46, 2018 (Released:2021-09-01)

本稿はコンテンツツーリズム領域における心理的・社会的知見の積み増しを目指して、その担い手であるファンの愛好行動に着目し、「フロー理論」およびその応用モデルの検討を通して、コンテンツツーリズムと社会の持続的な発展に寄与する「ファンのあり方」および地域が果たしうる役割について考察するものである。 フローとは、自己の没入感覚を伴う「楽しい経験」を指す。熱狂的なファンはコンテンツツーリズムの主導的な担い手になっているが、それは愛好対象に「はまっている」ことが「楽しい経験」としてフローの状態にあるからと説明することが可能である(ただし「はまる」ことは依存性の問題もはらんでいる)。 近年、愛好対象である「人物」の移動に合わせて旅行するファンツーリズムの研究が進んでおり、コンテンツツーリズムにもその影響が及びつつある。それは「場所」(ロケ地など)の影響をあまり受けない旅行形態であり、ファンと地域の人々との間で交流が生まれるというコンテンツツーリズムの特徴を相殺してしまう。そのような状況であるからこそ、作品にはまり過ぎず、依存し過ぎない、自立した「ファンのあり方」を模索しつつ、ファンと地域の人々が交流することによるメリットを再確認し、積極的に取り組んでいくべきではないかと考える。

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P39「表1 ファンの愛好活動のレベルに関する分類」で自分がどのレベルかわかりますw 「自立したファン」についての考察も興味深いです

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