著者
サントソ マルタ 山口 智子 的場 輝佳 髙村 仁知
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.202-213, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
30

パンギノキ (Pangium edule Reinw.) は,東南アジアおよび南太平洋諸島の熱帯植物であり,現地では,その種子から高含量のシアン化合物を取り除いた後に食される。パンギノキの種子はそのまま植物性食素材として消費するほか,穴埋め発酵により,特徴的なセイボリーなフレーバーを付け加えた香辛料として消費される。発酵した種子はクルワックと呼ばれる。これまでに,種子が高レベルの抗酸化活性および抗酸化成分を有することが報告されている。本研究では,パンギノキ種子における抗酸化活性および抗酸化成分の分布,ならびに穴埋め発酵および加熱調理の影響について,1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル (DPPH) 法,酸素ラジカル吸収能 (ORAC) 法,全フェノール量,アスコルビン酸量,ビタミンE量,脂肪酸組成を測定した。さらに,穴埋め発酵がパンギノキ種子の物性に及ぼす影響についても解析した。種子に含まれる抗酸化活性および抗酸化成分は,DPPHラジカル捕捉活性を指標とした場合,主に水系画分に存在したが,ORACを指標とした場合,水系,油系の両方に存在した。水系,油系の主な活性成分はそれぞれフェノール化合物およびγ-トコトリエノールであった。穴埋め発酵により,水系および油系の抗酸化活性は有意に増加したが,これはメイラード反応生成物によるものと思われる。同様に,加熱調理過程においても両方の画分で抗酸化活性が増加した。

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