著者
遠藤 寛子 湯川 進太郎
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.81-93, 2018-10-31 (Released:2020-01-05)
参考文献数
35

本研究では,怒りの維持過程研究(遠藤・湯川, 2012, 2013)に基づき,思考の未統合感を低減させる方向で構造化された筆記開示法(構造化筆記開示法)を考案し,その効果を検討した。実験参加者は大学生55名であり,無作為に3つの条件に分けられ,30分間の筆記実験を行うよう教示された。参加者は,過去の怒りエピソードについて自由に筆記する条件,状況を捉え直し,新たな意味を見いだすという構造化筆記条件,そして,中性話題について筆記する統制条件に区分された。 その結果,構造化筆記開示法を行った参加者は他の条件の参加者と比べて,怒りの維持状態の低減のみならず,その維持を規定する「思考の未統合感」も低下していた。また,筆記実験後,怒りエピソードについて他者に開示する傾向が示された。その際には,ネガティブな言動が減少し,話し方が変化する傾向にあった。したがって,怒りの維持過程に基づいた構造化筆記開示法は,他の筆記開示法よりも効果的である可能性が示唆された。

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とても参考になる 怒りの維持過程に基づいた筆記開示法の検討 ―思考の未統合感に着目して― https://t.co/b8Hwx4n4Oc
あとで読む。抄録を読む限り、怒りについて書いてみて分析すると怒りが収まるって感じなら、セネカの主張ともそこそこ近そうだな。 怒りの維持過程に基づいた筆記開示法の検討 ―思考の未統合感に着目して― https://t.co/6lqdDwzp8j

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