著者
竹内 靖博
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.198-202, 2013-09-30 (Released:2015-06-30)
参考文献数
6

体内におけるビタミンD作用は,その特異的受容体を活性化することにより発現される.ビタミンD受容体に結合してビタミンD作用をもたらすリガンドは,1α,25水酸化ビタミンD[1,25(OH)₂D]である.天然型ビタミンDは体内において,肝臓および腎で水酸化されることにより,1,25(OH)₂Dとして生理活性を獲得する.1,25(OH)₂Dは主に腸管からのカルシウム・リン吸収を促進することにより,骨・カルシウム代謝調節に重要な役割を果たしている. ビタミンDの作用障害は,骨石灰化障害を生じてくる病・骨軟化症をもたらす重症のビタミンD作用不全と,主に骨吸収の亢進による骨代謝障害をもたらす軽症のビタミンD作用不足とに大別される.また,ビタミンD充足度の低下に関わる問題が臨床的に重要である.従来の見解とは異なり,わが国の成人におけるビタミンD充足度はきわめて不良であることが明らかにされており,骨・カルシウム代謝異常症におけるビタミンDの重要性は増大している.ビタミンD充足度の適切な評価と不足への積極的な対応が望まれる. 骨折の予防を目的とした骨粗鬆症治療においては,活性型ビタミンD₃製剤が広く用いられてきた.新規の活性型ビタミンD₃誘導体であるエルデカルシトールは,既存のアルファカルシドールを上回る骨折抑制効果を有することが明らかにされており,これからの骨粗鬆症治療における主要な活性型ビタミンD₃製剤となることが予想される.

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