著者
高橋 眞二 安部 浩 古山 武夫
出版者
日本作物学会中国支部
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録 (ISSN:09134670)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-9, 1995-09-30 (Released:2018-01-30)
被引用文献数
1

鯉の放飼が水田雑草の発生ならびに水稲の生育に及ぼす影響を明らかにしようとした.まず第1の効果としては, 鯉が土中の餌を求めて水田土壌表面をさかんに撹拌し, 土壌ごと摂食した.この行動が1〜2日も続くと雑草は断根し土面から離れ, 後に枯死した.また, 雑草の一部は鯉が直接摂食した.第2の効果としては, 鯉の土壌攪拌によって水が濁り, 地表面の相対照度は鯉無放飼の約50%程度となり, これによって雑草の発生本数, 発生量が抑制される効果を認めた.第3の効果としては, 鯉を水田に飼うため深水管理となり, この副次的効果によって雑草発生が抑制された.鯉の放飼開始時期は早いほど, 鯉の全長は長いほど, 放飼密度は高いほど除草効果は高かった.鯉放飼区は完全除草区(鯉を使用せず除草)に比べて, 平均地温は低くなり初期茎数は少ないが, 有効茎歩合は高まり, 穂数はほぼ同程度であった.一穂穎花数は多くなり面積当たり穎花数も多くなったが登熟歩合は低下し, 収量は10%少なかった.このように鯉の放飼は, 条件をととのえれば水田雑草をきわめて有効に防除できることが認められた.

言及状況

外部データベース (DOI)

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"――鯉の放飼を開始する時期は移植後10〜20日が除草効果は高く,放飼鯉の全長は10〜15cmで放飼密度は0.5尾 平方m以上で除草効果は高いことが認められた " J-STAGE Articles - 鯉の放飼が水田雑草の発生および水稲の生育に及ぼす影響 https://t.co/0by52K4bML
鯉農法の雑草抑制効果に関しては、いくつか研究がある。https://t.co/DLc3RrV6um ただ、従来の水田では、大型魚がいないことで小型魚や水生昆虫の生息が可能になっている面がある。また、鯉がサギに食べられないように、テグスを張っているらしい。水田性生物への影響は正か負かが気になる。
@mooen8807735 地域によっては結構やってるんですよ。 https://t.co/o1tuM9STjg

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