著者
野村 駿
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.25-45, 2018-11-30 (Released:2020-06-26)
参考文献数
21

本稿の目的は,「音楽で成功する」といった夢を掲げ,その実現に向けて活動するロック系バンドのミュージシャン(以下,バンドマン)を事例に,夢の実現可能性に関する解釈実践の内実を検討し,若者が夢を追い続ける社会的背景を明らかにすることである。バンドマンを対象とした質的調査の結果に基づき,次の4点を明らかにした。 第1に,夢の実現可能性に関するバンドマンの語りの特徴として,可能性と限界という2つの認識が内包されていることを示した。そして,なぜ夢の実現可能性に限界を感じながら,夢を追い続けることができるのかを検討した。 その結果,第2に,「夢の実現には時間がかかる」という認識枠組みが獲得されることによって,また第3に,周囲のバンド仲間の状況を選択的に参照する行為によって,夢を実現できていない自己の正当化と将来における夢の実現期待が同時に達成されることで,夢を追い続けることが可能になっていると指摘した。加えて,第4に,夢の実現可能性を低く見積もる因習的見解からの作用が,バンドマンの夢追いアスピレーションを加熱させることで,夢追いの継続という意図せざる帰結を導いてしまうことを明らかにした。 以上の知見をもとに,先行研究で論じられてきた進路選択・進路指導の実践を再考し,教育社会学においても積極的に学校外部へと視野を広げて,子ども・若者の進路選択プロセスを検討する必要があると論じた。

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パラ見してすげぇおもろかった。|野村 駿「なぜ若者は夢を追い続けるのか」『教育社会学研究』103 巻 (2018): https://t.co/y72EXMKJaI
J-STAGE Articles - なぜ若者は夢を追い続けるのか: バンドマンの「将来の夢」をめぐる解釈実践とその論理https://t.co/k7s23JF5dK
「若者がいかに夢を追っているのか,つまり学校外での夢追いプロセスの実態が明らかにされていない」 野村駿. (2018). なぜ若者は夢を追い続けるのか:バンドマンの「将来の夢」をめぐる解釈実践とその論理. 教育社会学研究, 103, 25–45. https://t.co/Gcwt2Q8N1M
さっきの論文課題認識が熱い https://t.co/o8Tp1ukzxV https://t.co/fGLe6UaAgf
当方,博士に進学してから休学してバンドやってた者である。そういう立場でこういう論考を読むことができる機会はなかなかないと思うので,そういう面で興味深い。 J-STAGE Articles - なぜ若者は夢を追い続けるのか: https://t.co/LljqdcEnd7
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酒井朗編著『進学支援の教育臨床社会学』と小杉礼子著『フリーターという生き方』が参考文献に掲載された野村駿さんの論文「なぜ若者は夢を追い続けるのか: バンドマンの「将来の夢」をめぐる解釈実践とその論理」(「教育社会学研究」103巻所収)がJ-STAGEで公開されました https://t.co/3YX7ljzDRY
野村駿「なぜ若者は夢を追い続けるのか――バンドマンの「将来の夢」をめぐる解釈実践とその論理」『教育社会学研究』103集,25-45頁,2018年 https://t.co/tOD3BQ9JUi

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