著者
久保田 真功
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.107-127, 2013-07-25 (Released:2014-07-28)
参考文献数
33
被引用文献数
2

本研究の目的は,中学生を対象とした質問紙調査をもとに,いじめ加害者がいじめによって得られる利益に着目し,いじめをエスカレートさせる要因について検討することにある。 分析を行った結果,①いじめを続けていくなかでの加害者の心情の変化には,「いじめへの後悔」(いじめをすることに罪悪感や情けなさ,不安を抱くようになる)と「利益の発生」(いじめが楽しくなったり,被害者を服従させることで気分がよくなったり,加害者同士で連帯感を感じるようになる)という2つの側面があること,②加害者が女性の場合よりも男性の場合において,いじめがエスカレートしやすいこと,③「異質」な者を排除することを“口実”としたいじめや,被害者を制裁することを“口実”としたいじめ,被害者の属性とはおよそ無関係な身勝手な理由によって行われる遊びや快楽を目的としたいじめは,エスカレートしやすいこと,④加害者がいじめをすることによって得られる利益を実感するようになった場合に,いじめはエスカレートしやすいこと,などが明らかとなった。 これらの結果は,いじめのエスカレート化の問題を考えるにあたり,いじめの“口実”や加害者の私的利害に着目することの重要性を示唆している。

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「なぜいじめはエスカレートするのか? ──いじめ加害者の利益に着目して──」 久保田 真功 教育社会学研究 2013年 92 巻 107-127 https://t.co/JFHdHXdksm
https://t.co/kjXMWQbnMb 要旨がわかりやすい。小学生でもわかるくらい素敵。 表だけでも至極伝わる。これも授業に使おう。 https://t.co/9mtizYWEou
きのうのゼミで学生さんが報告した論文。 久保田真功(2013)「なぜいじめはエスカレートするのか?─いじめ加害者の利益に着目して」『教育社会学研究』92集 https://t.co/8RjtQZJypd やっぱりいいと思った。ふつうにアンケート配ってシンプルに分析しただけやが。

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