著者
小島 彩子 佐藤 陽子 橋本 洋子 中西 朋子 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.141-145, 2010 (Released:2010-09-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

最近の野菜の栄養価が低下しているという情報が流されている。こうした情報は,単に日本標準食品成分表(食品成分表)の収載値を引用して比較しているが,食品成分表では改訂ごとに分析方法が変更されていることは考慮されていない。このような情報における分析方法の関与について検証する目的で,ビタミンC(VC)に焦点をあて,9種類の野菜のVCを,これまで食品成分表で使用された3つの分析方法,すなわち滴定法(I),比色法(II),HPLC法(III)を用いて比較した。ホウレンソウ,コマツナ,ニンジンのVC含量はI>II>IIIのように明確に年代順に低下した。この実測値の変動は,食品成分表におけるVC収載値の変動とよく一致していた。トウガンのVC含量は食品成分表収載値の変動と同様に方法IIによる実測値が他法よりも高かった。いくつかの野菜では,食品成分表におけるVC収載値の変動が分析方法だけでは説明できなかったものの,全体としては,実測値の変動は食品成分表の収載値の変動とよく一致していた。以上の結果より,過去の食品成分表のVC収載値の変動に対して,分析方法の違いがある程度は影響したことが示唆された。(オンラインのみ掲載)

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (44 users, 47 posts, 105 favorites)

最近、ほうれん草の鉄分が1951年に比べて10分の1以下になっているのは農薬のせいだ。だから無農薬がいいんだってツイートをちょくちょく見るので、少しだけ調べてみた。 小島ら(2010)は測定法の影響と収穫時期の影響を考慮して、慎重な評価が求められるとしている。 https://t.co/1sZU8OeHXS
@alphaofchildren 最近の野菜の栄養価が低下しているという情報が流されている。こうした情報は,単に日本標準食品成分表(食品成分表)の収載値を引用して比較しているが,食品成分表では改訂ごとに分析方法が変更されていることは考慮されていない。 https://t.co/kiQ9e1TICT
こんな論文があります。結果だけ見ると、確かに栄養素は減っている様に見えますが、それは分析法が違うからで、安易に昔と今を比べるのは間違いだと、結論づけています。 https://t.co/uo3NI2R7ea https://t.co/RUuVesQLxW
@oiB1yw1whMhwNJz @akatsuki_yy0503 @ESmdcre 私もそれだと思ったのでそれに関したことを調べました。 ビタミンCは計測技術の進歩で本来の量がわかっただけのようですね。 こちらをご覧ください。 日本食品標準成分表の改訂に伴う野菜中のビタミンC収載値の変動に対する分析法の影響 https://t.co/XWSqVip0Ly
単に測定技術が変わっただけじゃないのか、と思ったら案の定。しかもビタミンCは新しい機械の方が低く出ると…… https://t.co/ZkGThdqfQ6 https://t.co/MfEB7JyKAE
昔の野菜に比べて今の野菜は栄養が半減している等の主張を時折見かけるけど、何十年前と今とでは定量法が違うので、数値に連続性は無いから、同じグラフに並べて論ずることは出来ない・・・というのが正解ですね。 たぶん魚の栄養素含量も変わってると思う。 https://t.co/nIyaf86Dcp
検索したら論文出てきたので、詳しくはそちらを参照あれ。 日本食品標準成分表の改訂に伴う野菜中のビタミンC収載値の変動に対する分析法の影響 https://t.co/dhtz73VpJg
成分表における野菜の栄養分減少には測定方法の変更が影響しているのではないかという研究があるにもかかわらず、一方的な思い込みで自分の都合の良いように、しかも何の根拠もなく自説の根拠として取り上げるのは疑似科学の最たるものであるなあ。 https://t.co/JPbAfMrW1J https://t.co/j2wntGsesB
「最近の野菜は昔より栄養価が落ちている」説の真相 #R25 http://t.co/UEKSjlnwmP @web_R25さんから 他にこんな論文も。https://t.co/XWFHIAABKv これはどういうコトかね、山岡君……?

収集済み URL リスト