著者
阪本 裕文
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.114-136, 2020-07-25 (Released:2020-08-25)
参考文献数
37

映画監督・映像作家の松本俊夫は前衛記録映画論を提唱し、新理研映画に在職していた期間(1955~1958)に実質的な初監督作品として『銀輪』(1956)、正式な監督作品として『マンモス潜函』(1957)、『伸びゆく力』(1958)、『日本原子力研究所第二部——JRR-2』(1960、松本の参加は1958年末まで)を監督した。これまで『銀輪』以外の作品は所在不明であり、新理研映画時代の松本の仕事は不明な部分が多かった。しかし本論に係る調査により『マンモス潜函』と『日本原子力研究所第二部』は現存が確認され、『伸びゆく力』は別の監督によって改作された改訂版の現存が確認された。本論はこれら新発見作品を主な分析の対象とする。まず第1節にて、新理研映画時代に併行して起こった教育映画作家協会での政治的論争と新理研映画の労働争議が、松本の中で結びついていたことを論証する。続く第2節にて、新発見作品の演出を個別に分析し、前衛記録映画論を提唱する以前の松本の映画の中に、前衛的な記録的手法の兆候があったことを論証する。最後に第3節にて、実験工房とのコラボレーションである『銀輪』の中で、松本の演出が強く表れている箇所を分析し、『銀輪』と新発見作品の間に連続性が存在することを論証する。これにより本論は、前衛記録映画論の形成過程を明示するという目的を達成する。

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