- 著者
-
和田 崇
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- E-journal GEO (ISSN:18808107)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.286-302, 2022 (Released:2022-08-06)
- 参考文献数
- 51
- 被引用文献数
-
1
本稿では,広島アジア競技大会の開催を契機として,広島市にいかにしてボランティア文化が定着し,その担い手や地域社会にいかなる便益をもたらしたかを解明した.広島市では,広島アジア競技大会を通じたボランティアへの関心の高まり,全国的な「ささえるスポーツ」政策の推進,大規模スポーツイベントやクラブチームなどボランティア活動機会の確保を背景に,2001年に広島市スポーツイベントボランティアが創設された.この事業は担い手にも地域社会にもさまざまな効果をもたらし,有意義な取組みであったと評価できる.ただし,それは長い時間をかけて同事業を行政主導・非日常のものから市民主体・日常のものへと変化させ,スポーツ経験者以外の多様な市民が自発的に参加できるようになったからこその評価といえる.