著者
青木 孝文 伊藤 康一 青山 章一郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-130, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本稿では,東日本大震災において亡くなられた方の御遺体の個人識別(身元確認)が,いかにして行われてきたかを明らかにする.今回の震災では,顔貌,指紋,掌紋,DNA型などを用いた各種の個人識別手法の中でも,特に歯科的個人識別が有効であった.しかし,発災当時,我が国の警察でさえも,多数遺体の歯科的個人識別について十分な経験を有しておらず,その方法論の確立が急務であった.この状況を打開するために,筆者らは,2011年4月から,宮城県警察本部の身元確認チームに参画し,ICTを活用した歯科的個人識別の高度化に取り組んだ.最終的に,歯科医師会と合同で,歯科情報に基づく迅速な身元確認のワークフローを構築した.本稿は,この震災現場で学んだ教訓を共有することを目的としている.更に,将来の大規模災害の身元確認に備えるために,現在,厚生労働省が実施している「歯科診療情報の標準化」事業の現状と,将来へ向けた技術課題を明らかにする.

言及状況

外部データベース (DOI)

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@clearance_DTVT https://t.co/JdHfY6FTIU 被災者照会という視点からデータベース化を検討した動きはありました。 個人が特定されない研究使用目的ならレセプトデータから収集されたNDBを使ったものが既に稼働していますが、ハードルは高いようです。
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Reviewに掲載された「災害犠牲者の身元確認とICT」がベストオーサー賞に選出されました.(オープンアクセスです.) https://t.co/nwv4tXeZXy
災害犠牲者の身元確認とICT https://t.co/5karEFZXtz #震災

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