著者
曲渕 輝夫 輿水 馨 藤原 公策
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
実験動物 (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.123-129, 1977-04-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 4

1975年の2月から4月にかけて, 都内某研究所で集団発生したゴールデンハムスターの多数の死亡をともなうwet tailの原因を究明するため, 病因・病理学的検索, 伝達試験を行った。剖検された11匹中10匹に出血性腸炎が, 5匹の肝には, 針頭大の淡黄色または乳白色の壊死病変が認められ, 腸および肝の塗抹標本に, Tyzzer菌と思われる桿菌が多数認められた。発症ハムスターの腸管乳剤を健康ハムスターに経口投与すると, 10~14日で自然例と同様の症状を発現死亡し, 腎および肝の塗抹標本に多数のTyzzer菌が認められた。汚染床敷を入れたケージを54日間室温に放置した後, 健康ハムスターを入れると, 5~19日目までの間にwet tailを発現死亡し, 腸および肝の壊死病変部には, 多数のTyzzer菌が認められた。この事実からwet tailの集団発生に, Tyzzer菌の芽胞が重要な役割を演じていることが示唆された。

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