- 著者
-
吾郷 由希夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.7, pp.686-690, 2017 (Released:2017-07-01)
- 参考文献数
- 24
うつ病の生物学的な原因は未解明であり,臨床研究と同時に,その病態解明や創薬には実験動物を用いた研究が必要不可欠である.うつ病の動物モデルとしての意味には二通りあり,一つは,薬物の抗うつ効果の判定などに用いられる行動モデルとしての動物モデルであり,もう一つは,特定の病因仮説に基づいた疾患モデルとしての動物モデルである.本稿では,うつ病の中心的症状である無快感症(アンヘドニア)を齧歯動物で評価する行動試験について,最新の研究を紹介する.また,臨床開発が進んでいるケタミンを例に,抗うつ薬の新しい標的分子について概説する.