著者
永野 大輔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.925, 2017 (Released:2017-09-01)
参考文献数
3

抗体医薬品は,今日のがん化学療法においてキードラッグの1つとなっている.抗CD20抗体のリツキシマブの承認以降,全世界で50種類以上の抗体医薬品が承認されており,多くの抗体医薬品が開発されている.抗体医薬品の作用機序には,抗体依存性細胞傷害(ADCC)と補体依存性細胞傷害(CDC)がある.ADCCは抗体が標的細胞や病原体に結合することにより,natural killer(NK)細胞やマクロファージが抗体のFc部位を認識して標的細胞を傷害する作用である.CDCは,補体が活性化して標的細胞を傷害する作用である.N-結合型糖鎖は多くの抗体医薬品が有している糖鎖修飾体であり,ADCCやCDCに影響を与える.さらにFab部位に結合しているN-結合型糖鎖は,抗悪性腫瘍薬のセツキシマブにおいて,アナフィラキシーを引き起こす原因の1つとして報告されている.抗体医薬品の薬理作用と副作用防止の観点より,N-結合型糖鎖修飾体の血中濃度モニタリングは重要と考えらえる.今回,リツキシマブの血中濃度モニタリング対象として,糖鎖修飾体の経時的変化を調査した報告を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Chung C. H. et al., N. Engl. J. Med., 358, 1109-1117(2008).2) Otani Y. et al., PLoS One, 12, e0169588 (2017).3) Shields R.H. et al., J. Biol. Chem., 277, 26733-26740(2002).

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