著者
江畑 冬生
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.151, pp.63-79, 2017 (Released:2017-04-12)
参考文献数
20

サハ語には2種類の勧誘形がある。一方は主語が双数の場合に,他方は主語が複数(3者以上)の場合に用いられる。「複数形」は双数形に接尾辞-(i)ŋを付加することで形成される。これに対し命令形では,「単数形」に同じ接尾辞-(i)ŋを付加することで複数形(2者以上)が形成される。先行研究では主語の数にのみ注目していたため,同一の接尾辞の有無に関して,ある場合には双数/複数の対立として,別な場合には単数/複数の対立として記述される結果になる。本論文では,接尾辞-(i)ŋは聞き手の複数性を指示するのだと主張する。この新たな分析により,パラダイムの中に部分的に存在していた「双数」という概念を解消できる。当該接尾辞を用いて聞き手の数を区別するのは,勧誘形・命令形・挨拶言葉である。これらには眼前の聞き手に対し強い働きかけを有するという共通点がある。挨拶言葉において聞き手の数が区別されやすくなる現象は,近隣の言語にも観察される*。

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【言語研究・掲載論文】サハ語(ヤクート語)の「双数」の解釈―聞き手の数からの分析― (江畑冬生) 151号 https://t.co/89RPDJzmr4
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『言語研究』の論文のDOIはJ-Stageに行くんだけど,こっち https://t.co/5ftWt5XSgQ は日本語ページに飛ぶのにこっち https://t.co/EzYpa9Lvh1 は英語ページに飛ぶ(どちらも日本語論文)。どういうこっちゃ…

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