- 著者
-
塩野 清治
- 出版者
- 日本情報地質学会
- 雑誌
- 情報地質 (ISSN:0388502X)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.1, pp.13-46, 2008 (Released:2010-03-23)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
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本講座では,直線ののびる方向や面の傾きなど地質構造の姿勢を表すデータ(方向情報)の数値処理法を考える.野外調査データから地下構造を推定するプロセスを,方向情報をベクトルで表現することによって,ベクトルの和や差,内積,外積などを活用した空間幾何学の問題として考察する.はじめに,地層面の法線ベクトルを使った平面の方程式にもとづいて,一定方向に傾斜する地層群の空間分布に関わる諸性質を体系的に整理する.そのあと,面のずれ(隔離)に焦点をあてながら,断層を含む地質構造を考察する.最後に,観測された複数の方向情報からその平均の方向を求める問題をステレオ投影法とともに考察する.本講座は,ベクトル表現にもとづく方向情報の活用法を紹介することが主な目的である.理解を深めるために,露頭観察の結果から3次元地質構造モデルを構築する作業に関連するいくつかの演習問題を示した.