著者
武久 洋三
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.239-242, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

高齢者は複数の疾患を抱えており,治療が遷延し回復に時間を要することが多い.急性期病院では臓器別専門医による専門分野の治療が中心である.老年医学は老年患者の病態を把握した上で総合的に診るという機能があるが現在の日本の医療制度では,高齢者が脳卒中などを引き起こした場合には,まず急性期病院へ運ばれ治療が行われる.しかし急性期病院は平均在院日数の短縮化やDPC制度の弊害により,主病名の治療が一段落すると退院促進をすることが一般的である. 慢性期医療を担う病院では,主病名の治療を終えた各専門科の患者が慢性期病院へ紹介されてやってくる.慢性期医療とは,高度急性期病院で受けた治療後の患者の治療を継承するとともにその疾病や治療によってもたらされた身体環境の悪化(「医原性身体環境破壊」)に対する治療を総合的に行い疾病前の状態に回復させ,患者が施設や在宅療養に移行できるようにQOLを回復し病状の悪化を防ぐ機能を含め非常に広範囲な医療の概念が必要と考える.そのためには医学的治療だけでなくリハビリテーションをはじめ,看護・介護ケア,栄養ケアなど様々な方面からサポートしなければならない. 現在,慢性期医療を担う病院ではICUの入院患者と変わらない症状の患者を治療している.同じ医療区分1の患者であっても施設で対応可能な軽症患者から重症患者まで多種多様であり現在の診療報酬の医療区分の体系で患者状態を保険診療していくのは困難である. 15年後には,死亡者が現在より50万人も多い160万人になると推測されており,さらに病院・施設・在宅療養対象者が300万人も増えることが予想されているにもかかわらず国は今後病床数を増やさない方針であるため,在宅療養支援機能の強化が必要となってくる.今後は病院が地域包括医療センターとして地域包括支援センターの役割も併設しトータルで医療と介護をコーディネートしていく必要があると考える.

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