著者
谷口 英喜 秋山 正子 五味 郁子 木村 麻美子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.359-366, 2015-10-25 (Released:2015-12-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

目的:介護老人福祉施設の通所者におけるかくれ脱水(脱水の前段階)の実態調査を行い,非侵襲的なスクリーニングシートを開発することを目的とした.方法:介護老人福祉施設の通所者70名を対象に血清浸透圧値を計測し,かくれ脱水(体液喪失を疑わせる自覚症状が認められないにもかかわらず,血清浸透圧値が292から300 mOsm/kg・H2O)の該当者を抽出した.該当者において,脱水症の危険因子および脱水症を疑う所見に関してロジスティック回帰分析を行い,オッズ比を根拠に配点を行った.配点の高い項目から構成される高齢者用かくれ脱水発見シートを作成し,該当項目に応じた合計点毎の感度および特異度を求め,抽出に最適なカットオフ値を探索した.結果:かくれ脱水の該当者は,15名(21.4%)であった.先行研究のかくれ脱水発見シートを改良し,①女性である(4点),②BMI≧25 kg/m2(5点),③利尿薬を内服している(6点),④緩下薬を内服している(2点),⑤皮膚の乾燥や,カサつきを認める(2点),⑥冷たい飲み物や食べ物を好む(2点),の6項目から構成される高齢者用かくれ脱水発見シートを考案した.このシートにおいて,かくれ脱水である危険性が高いと考えられるカットオフ値は,9点(合計21点)に設定した(感度0.73,特異度0.82;P<0.001).結論:高齢者においては,脱水症の前段階であるかくれ(潜在的な)脱水が一定の割合で存在し,非侵襲的なスクリーニングシートにより抽出が可能である.

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