著者
杉江 あい
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.115-134, 2013-03-01 (Released:2017-12-02)
参考文献数
43
被引用文献数
1 1

本稿は,バングラデシュ農村部における「物乞い」と施しの慣行の実態を実証的に明らかにし,今日の「物乞い」をめぐる制度展開を批判的に検討した.本稿の対象地域の「物乞い」は,障害や高齢によって労働すること,また,家族の経済状況により扶養されることが困難な者である.障害を持つ男性の「物乞い」は,居住地から比較的遠い市場に行っていた.特に大規模な定期市は,彼らに特別な施しが与えられる場となっている.一方,女性の「物乞い」は社会的な規範により,徒歩で集落を中心にまわる者が多い.彼らは施しを与えられるだけでなく,交通費免除や場所提供など,「物乞い」をするための手助けも受けている.特に障害を持つ「物乞い」は,そうした優遇措置を受けやすい.「物乞い」と施しの慣行は宗教的,社会的な意味を持ち,地域社会の仕組みに埋め込まれている.しかし,体制側は経済的,社会的に周縁な領域として廃止しようとしている.

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

Twitter (7 users, 11 posts, 45 favorites)

「地理学評論 Series A」先月の月間アクセス数上位論文をご紹介します。 バングラデシュ農村部における「物乞い」の慣行と行動 杉江 あい https://t.co/pavgNqcdDk
「日本地理学会賞(若手奨励部門)」これまでの受賞論文からご紹介します。 杉江あい 「バングラデシュ農村部における『物乞い』の慣行と行動」 https://t.co/pavgNqcdDk https://t.co/8DLHQ6ZWR5
@our_buro 原貫太さんの言ってることは僕の考えに近かったです(特に10:00〜) それに加えて「物乞い」が、現地社会でどのような存在なのかを丁寧に考えることも、自らの行動の基準になると思います。 地理評に掲載された、バングラ農村「物乞い」研究(杉江,2013)を是非読んでみて! https://t.co/GKUa9TEpYj https://t.co/5cMqrrYDkS
東京のど真ん中で都市地理学を研究する教授を相手に、バングラデシュ農村部の物乞いについての論文を紹介して喧嘩を売ってきた。 https://t.co/OH0lM8ofKS
【地理学研究法B】 人文地理学関連の論文を1つ選び、構成・内容を簡潔にまとめて1週間後に発表せよ(15分間 / パワポ・レジュメ) 僕はこれで川□先生に立ち向かいます。 https://t.co/OH0lM8ofKS https://t.co/dxtKQh24AQ
【地理学評論掲載論文】杉江あい 2013.バングラデシュ農村部における「物乞い」の慣行と行動.地理学評論86A: 115-134.https://t.co/pavgNpUCeK

収集済み URL リスト