著者
金田 章裕
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.249-266, 1976-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
44

摂津・河内・大和・山城・伊勢・尾張などでは条里地割の内部に島畑が存在している.このような島畑景観の起源は条里地割そのものの起源とは別に検討を必要とするものであり,文献史料と現地の地割形態との対比の結果,明確に確認されるのは14世紀末であり, 12世紀以前においてはまだ形成されていなかったと考えられる.律:令制下では本来畑は制度的に田と異なり,かつその評価も低かったが,11世紀以後の制度的な差異の消滅および土地利用の進展の結果,例えば15世紀初めには田畑が同一の評価を受けていた例も確認される.この頃には従つて田畑共に有効に利用する集約的な土地利用形態と結びつく島畑景観形成の経済的・社会的条件は一応満足することとなり,前述の起源とも合致する.このような島畑景観形成のプロセスは,微地形・表層地質の調査・検討の結果とも矛盾せず,むしろ検証されるものである.

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https://t.co/uwymB06eW5 金田先生は歴史地理学者でありながら自然地理学の視角も非常に重視されている方だけど、(もちろんそういう姿勢は地理学者としてある意味当然なんだろうけど)この論文を初めて読んだときの驚きはすごかったなあ。
J-STAGE Articles - 条里制施行地における島畑景観の形成 https://t.co/kYIokrhqjq 論文あった。特に顕著な一宮市丹陽町三ツ井は詳しく書かれている

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