- 著者
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森山 昭雄
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 地理学評論 (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.4, pp.243-261, 1983-04-01 (Released:2008-12-24)
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
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筆者は,まず人工地形を「人間の諸活動が自然の地形に対して直接的にあるいは間接的に作用することによって生じた地形」と定義し,直接的に造られた地形(第一次人工地形)と間接的な影響によって生じた地形(第二次人工地形)とを区別した.第一次の人工地形は,改変前の地形・地質条件,改変主体の性格,改変方法,法的規制等の詳細な分析により成因論的に説明することが可能であることを述べた.その考えに立って,瀬戸市およびその周辺地域に分布する陶土・珪砂採掘鉱山の人工地形について分析した.その結果,本地域の陶土・珪砂採掘に伴う人工地形は,改変主体の零細性に起因する鉱区の狭小性が数多くの巨大な採掘穴を無秩序に分布させたこと,ベンチカット方式と重機械による採掘方法および法的規制によって,ベンチの高さや幅,道路の幅や配置,穴底の沈澱池などの人工地形に著しい規則性をもたらしたことを述べた.また, 1m2当たり改変土量が約35m3にも達する強度の改変は,露天掘鉱山特有の性格であることを強調した.