著者
中島 弘二
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.708-733, 1989-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
52
被引用文献数
3 3

生産活動をめぐる人間一環境関係研究は,もっぱら物質文化や生業活動の問題として文化地理学において取り扱われてきた.しかし Cosgrove (1978)が指摘するように,人間一環境関係とは文化から文化景観への一方向的流れとしてではなく,知と存在との,そして認識と実践との弁証法的関係としてとらえられるものである.本稿は近代阿蘇山麓の牧野利用の分析を通して,そうした弁証法的人間一環境関係を明らかにすることを試みた.その結果,牧野をめぐる社会変化が生態・社会両システムのシステム間関係に依存しているということ,そしてそうした関係が稀少性のさ中での共同主観化された意識と実践との弁証法的展開過程であることが明らかとなった.それは単に研究対象の問題のみにとどまらず,人問一環境関係という問題を設定する地理学者自身の認識論的プロブレマティックにかかわる問題である.

言及状況

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「日本地理学会賞(研究奨励賞)」これまでの受賞論文からご紹介します。 中島弘二 近代阿蘇山麓の牧野利用──人間‐環境関係再考── https://t.co/Ase1UEdzmZ https://t.co/bVeD4QyCCL
中島さんは,この研究グループの主要メンバーというよりは以前から「自然の地理学」という研究動向に着目していた地理学者でした。 1989年のこの論文から,副題に「人間ー環境関係」と掲げる文化地理学的研究をしていました。 https://t.co/nN4XNqEZyS
今,読み直したい論文 中島弘二(1989):近代阿蘇山麓の牧野利用――人間一環境関係再考.地理学評論 62: 708-733. いい論文は何度でも読み返そう。知らなかった人も是非。 https://t.co/nN4XNqX8N0

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