著者
須山 聡
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.219-237, 1992-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

本稿は,輪島漆器業が従来からの製造工程と高級品生産を維持したまま発展した基盤を明らかにすることを課題とし,生産流通機構・労働力・原材料の3点から検討した.輪島漆器業は,18世紀以降高級漆器の生産技術を蓄積し,塗師屋を中核とした分業によって手作業を主体とした生産を行なっていた. 1960年代以降の需要の急増に,輪島漆器業は生産流通機構を再編成し,〓漆工程の効率化と販売先の多様化によって,製造工程を変えることなく対応した.漆器生産に必要な労働力は,輪島市と近隣市町村から確保され,徒弟制によって技能を習得する.塗師屋を中核とした分業と徒弟制は,原材料基盤が能登半島内に存在した1920年代までに確立された.現在でも輪島市内には原材料調達機能が存在し,原材料基盤の消失を補完している.高級漆器の生産に必要な,漆器関連事業所・労働力・原材料調達機能が,すべて輪島に存在していることが,生産流通機構の再編成を実現し,輪島漆器業の発展の基盤となっている.

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