- 著者
-
加藤 幸治
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.2, pp.102-125, 1996-02-01 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 48
- 被引用文献数
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本稿では情報サービスをめぐる地域的循環に焦点をあて,その実態分析を行なった.地域産業連関表の分析を通じて,情報サービス需要の地域的流動,その東京一極集中の特徴が,統計的にも明瞭となった.関東とりわけ東京都のみが全国規模の供給地として求心性をもち,地域的循環の軸心となっている.東北地域における情報サービスの循環をみても,それは需給いずれの面でも,全国レベルの経済循環との関連性が強く,地域経済との連関は薄いものであり,東北地域の経済循環に「内実化」されているとはいいがたい.情報サービス需要は企業間あるいは企業内事業所間の関係を通じて東京へと集中する.需要の地域的集中の要因は多様であり,それらは相互に関連し複合的に作用するとともに,累積的・循環的に東京への集中を促進する方向に作用している。このように現在の東京一極集中は,それを拡大,再生産する内的システムをもったものとして捉えることができる.