著者
三木 理史
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-19, 2002-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
45
被引用文献数
1

本稿は,第一次・第二次両世界大戦間期の大阪市の交通調整事業が,統制経済の一環にとどまらず,都市計画事業に通じる都市膨張への対応の面を併せ持ったことを,都市交通の領域性に着目して明らかにする.都市交通の領域性とは,都市交通が都市内交通と郊外交通に機能的領域区分を形成することを指す.本稿での検討から,戦間期の大阪市の交通調整は,明治期に都市交通の領域区分を基礎として成立した市内交通機関市営主義を,都市膨張を発端とする都市交通の一体化に対応するものに修正することをねらいとしていたことが明らかになった.そうした理念は同時期の都市計画事業にも通じるものであり,従来注目されてきた市営一元化への企業間調整や合併は,本来その理念実現の中で要請されたものと考えられる.しかし,その実現には戦時体制の活用が不可欠で,それが都市交通調整と経済統制や戦時統制との峻別を困難にしていたことも明らかとなった.

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戦間期大阪市の都市膨張対応と交通調整 https://t.co/hhcGLenVl1
電気事業は村営レベルで存在するのに対し、軌道事業はほぼ市営に限られる。これら使用料収入が財政を下支えし、新規事業の財源となる。 電気事業に関しては論文 https://t.co/GxoFv6OX97 軌道事業に関して論文 https://t.co/eFTXP9gkuJ 公営電気は戦後国家管理下から再び取り戻そうとする動きもあった
【地理学評論掲載論文】三木理史 2002.戦間期大阪市の都市膨張対応と交通調整.地理学評論75: 1-19.https://t.co/wRTbfPjDjH

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