- 著者
-
石川 幸伸
藤田 郁代
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.3, pp.325-331, 2015-09-30 (Released:2016-10-01)
- 参考文献数
- 17
失語症患者における言語性保続の発生に関係する要因を明らかにするために連続呼称課題を実施し, 語の意味的・音韻的関連性と刺激提示の時間間隔 (RSI: Response Stimulus Interval) から検討した。また言語性保続の発生と脳病変部位の関係について検討した。対象は失語症患者 14 名 (全例右利き) であった。方法は 60 語からなるリストを3 種類 (意味的関連, 音韻的関連, 無関連) 作成し, RSI 1 秒と RSI 15 秒で語を連続的に呼称させた。その結果, 言語性保続は意味的関連リストと RSI 1 秒の条件で有意に多く発生した。左前頭葉病変群は他の病変群より意味的関連語を RSI 15 秒で連続的に呼称する際に多くの言語性保続を呈した。以上から語の意味的関連と RSI が言語性保続の発生に影響を及ぼし, 左前頭葉における意味情報の調整機能低下が言語性保続の発生に関与すると考えられた。