著者
小島 哲
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.58-69, 2012-04-30 (Released:2012-05-25)
参考文献数
59

鳴禽と呼ばれる小鳥類は,言語を学習する人間と同様,「さえずり」という複雑な音声パターンを他個体からの模倣により発達させる。彼らは,あらかじめ耳で聞いて記憶した手本のさえずりの音声パターンに自分自身の音声を一致させるという高度な感覚運動学習を通して,手本とよく似たさえずりを獲得する。このさえずりの感覚運動学習には,Anterior Forebrain Pathway(AFP)と呼ばれる神経経路が中心的な役割を果たしており,近年その機能の解析にともない鳥がさえずりを上達させるメカニズムが急速に明らかになってきている。本稿では,筆者らの研究を含めたAFPに関する最近の研究を概説し,さえずり学習の神経機構および行動戦略に関する最新の動向を紹介する。またAFPは,大脳皮質‐大脳基底核ループと呼ばれる,哺乳類の脳にも存在する神経経路の一部がさえずり学習に特化したものであることから,同ループ経路の複雑な機能を理解する上での非常に良いモデルになると最近言われている。そこで,哺乳類の同ループ経路の機能に重要な示唆を与える鳴禽AFPの最近の研究を紹介し,今後鳴禽AFPの研究が大脳基底核の機能の解明において果たし得る役割と課題についても論ずる。

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