著者
利嶋 奈緒子
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.46-52, 2017-06-15 (Released:2017-07-03)
参考文献数
53

生物が健康的な生活を維持するためには,適切な栄養素の摂取が重要である。味覚,嗅覚,視覚など様々な感覚システムを用いて,外界に存在する必要な栄養素を探索し,摂取しなければならない。空腹の生物にとってエネルギー源となる糖や脂肪の味覚感覚は摂食行動を誘引するが,それらの栄養素の過剰な摂取は肥満や糖尿病などの問題を引き起こす。生体活動の維持には,他にもタンパク質やイオンなど様々な栄養素がバランスよく必要とされる。体内の適切な栄養環境を維持するためには,「何」を「いつ」,「どのくらい」摂取するのかを意思決定をする必要があるのである。意思決定のプロセスを介した摂食行動は,哺乳類から無脊椎動物まで保存されている。中でも昆虫は比較的単純な神経構造を持っていながら,複雑な摂食制御機構を有し,また哺乳類と共通の遺伝子も多く存在することから,意思決定の遺伝学的・神経生物学的研究のための有用なモデルの一つである。本稿では,摂食行動の意思決定についての行動学的研究から分子神経学的研究まで,主にキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)をモデルとした最新の知見を紹介する。

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果実を好むショウジョウバエ成虫が糖だけではなくアミノ酸の嗜好性も持っていることは、幼虫が育つのに適した産卵場所かどうかを判断するのに役立つのだろう。 実際に交尾後の雌は酵母を多く含む餌への嗜好性が高まることからも確かだ。(続) https://t.co/ZAIsuaoMK3
昆虫における栄養恒常性と摂食行動の意思決定 https://t.co/BhyO1FwPKm

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