著者
金子 奈美
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.59, pp.61-83, 2015 (Released:2016-05-10)

スペイン・バスク地方の作家ベルナルド・アチャガが2003年にバスク語で発表し、2004年に彼自身によるスペイン語訳が刊行された長篇小説『アコーディオン弾きの息子』は、その複雑な構造を大きな特徴とする。本稿では、作中に二人の作者及び語り手が存在すること、すなわち小説全体が主人公ダビの回想録を彼の友人ヨシェバが書き直した本と設定されている点に着目して、作品の複雑な構造を捉え直すとともに、ヨシェバの書き直しがダビの自伝的語りに対しどのような機能を担っているかを考察する。とくに分析の対象とするのは、 ダビが回想録を執筆することで向き合おうとしたいくつかのトラウマ的出来事が、作中のどのセクションで、ダビとヨシェバのどちらによって、どのように 語られるかという点である。分析の結果、ダビの過去のトラウマをめぐる語りが作品構造の一つの軸を成していること、そしてそれぞれのトラウマ的経験の異なる語られ方とそこにおけるヨシェバの介入の効果が明らかになる。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (9 users, 10 posts, 6 favorites)

「アコーディオン弾きの息子」:象徴的に出てくる蝶というワード。同じく内戦時のスペインを描いた映画「蝶の舌」を連想。あと「パンズ・ラビリンス」も。スペインって、1975年までフランコ政権による独裁国家だったのね…。翻訳者・金子奈美さんによる本作の構造の解説発見! https://t.co/TSBZGI0TPB
訳者の金子奈美さんのアチャガ作品に関する論文「ベルナルド・アチャガ『アコーディオン弾きの息子』の 構造における二人の作者の機能」を友の会のかたから教えていただきました。より理解が深まるかもです! https://t.co/UcS9inEYf0 https://t.co/ZszdzLUfUo

収集済み URL リスト