著者
門脇 浩明 山道 真人 深野 祐也 石塚 航 三村 真紀子 西廣 淳 横溝 裕行 内海 俊介
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1933, 2020 (Released:2020-12-31)
参考文献数
100

近年、生物の進化が集団サイズの変化と同じ時間スケールで生じ、遺伝子頻度と個体数が相互作用しながら変動することが明らかになってきた。生物多様性の損失の多くは、生物の進化速度が環境変化の速度に追いつけないことにより引き起こされるため、生物の絶滅リスクを評価する上で進化の理解は必須となる。特に近年では、気候変動・生息地断片化・外来種などの人間活動に関連する環境変化が一層深刻さを増しており、それらの変化に伴う進化を理解・予測する必要性が高まっている。しかし、進化生態学と保全生態学のきわめて深い関係性は十分に認識されていないように感じられる。本稿では、進化の基本となるプロセスについて述べた後、気候変動・生息地断片化・外来種という問題に直面した際に、保全生態学において進化的視点を考慮することの重要性を提示する。さらに、進化を考慮した具体的な生物多様性保全や生態系管理の方法をまとめ、今後の展望を議論する。

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多様な観点が必要な難しい課題ですが、保全の現場と、基礎の進化生態学をつなぐ面白いテーマかもしれないですね。 参考:進化を考慮した保全生態学の確立と生態系管理に向けて 門脇ら(2020) 保全生態学研究 https://t.co/1lPQKv4WVr

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