- 著者
-
角野 康郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本生態学会
- 雑誌
- 保全生態学研究 (ISSN:13424327)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.2, pp.2004, 2020 (Released:2020-12-31)
- 参考文献数
- 64
湧水域は特有の環境と生物相を有し、生物多様性保全の観点からも重要な湿地である。近年、外来水生植物の湧水域への侵入と分布拡大の事例が報告され、生態系被害が危惧されている。本調査では、日本の湧水域における外来水生植物の侵入と定着の実態を明らかにすることを目的に、北海道、東北地方南部、南九州をのぞく全国 26都府県の湧水河川ならびに湧泉 201カ所を調査した。そのうち維管束植物が生育していたのは 165地点で、沈水形で生育していた陸生植物も含め 69種が記録された。この結果に基づき、在来種も含め、湧水域における水生植物相の特徴を考察した。外来種は 20種が 114地点から確認され、我が国の湧水域に広く侵入・定着している実態が明らかになった。オランダガラシ(広義)、オオカワヂシャ、コカナダモが多くの地点で確認されたほか、イケノミズハコベ、オオカナダモ、キショウブが 10カ所以上の地点で確認された。これら外来水生植物の生態リスクには湧水特有の環境が関係していることを論じるとともに、今後の課題について考察した。