著者
高橋 満彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2037, (Released:2022-10-20)
参考文献数
54

野生動物、特に鳥獣の写真撮影や観察は、現代的なリクリエーションとしても推奨されている。今後の撮影・観察を伴う野生動物観光の参加者は増加が見込まれ、その経済的将来性に期待が高まっている。一方で、撮影・観察活動は鳥類の営巣・育雛を妨害するなど、態様によっては生態保護上の支障を惹起する懸念が報告されており、どのように負の影響を減らして実施させるかが重要な課題となっている。普及啓発や関係団体による倫理規範などの自主規制も導入され、効果が期待されるが、強制力がないなどの弱点があり、法律による規制が必要となり、自主規制との相補関係が期待される。 しかし、日本では一般的に撮影・観察を規制する法令はない。特定の保護区における規制としては、鳥獣法や自然公園法で特に指定した地域において、特定の撮影・観察、録音などを規制できる等の規定を有している。しかし、規制事例はわずかであるうえに、行政が政省令等の整備など、法律を具体化する手続きを踏んでいないケースも多い。米国でも本邦同様に、撮影・観察を一般的に規制することは行っていないが、絶滅危惧種の保存法( ESA)により、指定保護種を困惑させたりする撮影・観察は捕獲規制の対象とされる。また、英国では営巣鳥類の行動を妨げることは禁止されており、営巣生態を撮影したいものに対するライセンス制度を導入している。 結論として、既存の法令を十分活用したうえで、諸外国の先進事例から学びながら、法令を一層整備することが必要である。特に絶滅危惧種保全、繁殖鳥類の保護、国立公園等の保護区管理の局面での規制の充実が望まれる。

言及状況

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確かに無茶な撮影で生息地荒らされたら困るよなぁ。環境省のレンジャーの仕事になるんだろうか。ご苦労様です。

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鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について https://t.co/whuPGWa6i7
営巣写真は論外ですが、公園の注意事項も守れないのは人として恥ずかしい行為です。 ライトな方も沼に浸かってる方も野生動物を観察したり、撮影したりする人は↓を読んでおくことをオススメします。 https://t.co/Z69546ayQT https://t.co/fsUDiAt97J
野生動物の撮影ルールを日本と他国で比較した研究。 https://t.co/nJV1MjIIU2
撮影等による野鳥への影響の深刻さを憂慮し、法規制を提言する学識経験者もいらっしゃる。これは一読してほしい。#野鳥写真 #野鳥撮影 https://t.co/qgcf7iJWI5
これがさらに、2022年の下記論文になると、法規制と自主規制の相補性を強調するようになっている。知床のヒグマの問題から自然公園法が改正され、餌付けが禁止された点についても否定的ではない。 鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について https://t.co/CJOTpR1VgL
ツイッター鳥屋の皆さん!この論文タダで読めるからぜひ読んでほしいです! 「鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について」 高橋 満彦(富山大学教育学部) 保全生態学研究 (Japanese Journal of Conservation Ecology) J-STAGE Advance published date: October 20, 2022 https://t.co/nZGFrNky2R
J-STAGE Articles - 鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について https://t.co/slFzZmJJ0x
確かに無茶な撮影で生息地荒らされたら困るよなぁ。環境省のレンジャーの仕事になるんだろうか。ご苦労様です。 / 1件のコメント https://t.co/AJOAS0WGyi “鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について” (1 user) https://t.co/UCEsGuv5f9
確かに無茶な撮影で生息地荒らされたら困るよなぁ。環境省のレンジャーの仕事になるんだろうか。ご苦労様です。 / 1件のコメント https://t.co/AJOAS0WGyi “鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について” (1 user) https://t.co/UCEsGuv5f9
しかし撮り鉄みてると… 鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について https://t.co/ID73nhW7BD
もちろん規制と法整備はある程度必要だと思うけど、それを作ったはずの知床で今年どうだったのか…現実を見たほうが良いと思うよ 鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について https://t.co/itZry5LpDw
保全生態学研究の特集「絶滅危惧種保全とエコツーリズム」の第4報が早期公開されました。 野生動物へのカメラマンによる影響は、日本の法令上どう制限できうるかという整理です。 鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について.高橋 満彦 https://t.co/CnQzPPIVju
鳥獣の写真撮影・観察に対する規制について。高橋 2022(日本語論文、オープンアクセス) https://t.co/3PYa4ykgIY 日本と海外で野鳥観察や法令に関する法律の有無や内容を比較し、海外の先進事例に学びながら国内でも法令を一層整備することが必要であると結論づけています。#論文紹介

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