著者
市橋 正一 福井 博一 金 勲
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.403-407, 2006 (Released:2006-12-27)
参考文献数
13

ミズゴケで栽培したドリテノプシスの乾物重と成分含有率に及ぼす培養液のイオン組成の影響について検討した.茎葉,根,花序などの乾物重と乾物割合は,処理区間での差は比較的少なかった.しかし,K+濃度の増加は茎葉の乾物重の増加に,Ca2+濃度の増加は減少につながった.乾物率は器官間での違いが大きく,茎葉部では6.4~7.4%であったのに対し,根部は8.5~10.4%,花序部では7.0~8.4%となった.各成分の含有率は培養液中の特定のイオン比率が上昇すれば同種元素含有率は増加したが,陽イオンあるいは陰イオン群内の他種のイオンの吸収は抑制された.本実験の陽イオン処理区では茎葉のCa含有率,花序のP含有率に違いが見られた.また,陰イオン処理区では根のP,Ca含有率,花序のN,Ca含有率に違いが見られた.これは,各イオンの吸収と移動が,培養液組成によって影響を受けたことによるものと考えられた.K+はH2PO4−の吸収・転流を阻害し,NO3−はCa2+の吸収を促進したが,その機作については不明であった.

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