著者
盛田 寛明 佐藤 秀紀 福渡 靖
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1-2, pp.55-63, 2005-03-31 (Released:2017-09-15)

本研究の目的は、男性退職者におけるうつ状態と運動の実施状況との間の双方向因果関係を、構造方程式モデル(以下SEM)を用いて明らかにすることである。全国7地区の企業または団体に勤務していた、55歳以上の退職後3年以内の男性退職者655名(平均年齢61.8±2.5歳)に対し、うつ状態および運動の実施状況に関する調査を行いSEMの双方向因果モデルで解析した。その結果、高齢群では[うつ状態]と[運動の実施状況]との間に双方向の因果関係を認めた。一方、中年群では[うつ状態]から[運動の実施状況]への影響は示されたものの、逆方向の因果関係は認めなかった。また、[うつ状態]から[運動の実施状況]への影響の強さは中年群より高齢群の方が大きいことを認めた。これらのことから、男性退職者では、うつ状態により運動の実施状況が低下している場合であっても、運動実施への介入に先立って、先行的にうつ状態を軽減することが運動・散歩・体操等の運動習慣の形成につながる可能性があり、その影響の強さは中年群より高齢群の方が大きいことが示唆された。一方、高齢群では、運動・散歩・体操等の運動習慣を継続することでうつ状態が軽減する可能性があるが、中年群では、運動の継続がうつ状態の軽減につながるとはいえないことが推察された。

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