著者
八木 健太郎 竹田 直樹
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.65-70, 2010-03-31 (Released:2017-10-06)

日本のパブリックアートは自治体の彫刻設置事業として始まった。これは世界的にも先駆的であったが、こうした日本のパブリックアートがその後どのように展開し、変化したのかを明らかにすることが目的である。アメリカにおける状況とも比較しつつ、彫刻設置事業以後のわが国のパブリックアートを巡る制度やプロジェクトを類型化し、その変化過程を示した。その結果、わが国においてはパブリックアートをめぐる議論は比較的乏しかったものの、1980年代から90年代にかけて、彫刻設置事業としてのパブリックアートが持つ問題点を解決するための興味深い変化が現れていることが明らかになった。1)都市開発事業と密接な関係を築き、都市や建築空間と一体となることにより都市の付加価値向上を実現する、2)彫刻などのアート作品を恒久的に設置する事業から、期間を限定してテンポラリーに作品を展示するプロジェクトへ移行する、3)作品の制作あるいはイベントの企画・運営を通して地域社会と密接な関係を構築する、という三つの変化の方向性が明らかになり、ほぼ同時期にアメリカにおいて見られたパブリックアートの変化とはまた異なる独自の展開を見せていることが示された。

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