- 著者
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矢野 三郎
- 出版者
- 一般社団法人 国立医療学会
- 雑誌
- 医療 (ISSN:00211699)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.4, pp.241-245, 1992-04-20 (Released:2011-10-19)
- 参考文献数
- 22
甘草は二千数百年前から東洋においても西洋においても広く用いられている生薬である. 甘味があるので各種の食品にも広範囲に含まれている. 1946年, この甘草に副腎皮質ホルモン様作用のあることが明らかになり, その作用機序について研究が進められてきた. 有効成分, グリチルリチンによるステロイド代謝阻害説やレセプター結合説が唱えられていたが, 最近, グリチルレチン酸による11β-hydroxy-steroiddehydrogenase阻害が明らかにされた. 私どもはグリチルリチン投与に基づく偽アルドステロン症患者に布いて血中に3-モノグルクロニル・グリチルレチン酸という新抱合体を発見したが, これも同酵素を阻害することを明らかにした.